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糖尿病

※ご注意

記載内容については、一般的に、ご参考にしていただきたい情報でございます。お客様毎に体質、原因や症状は異なります。詳しくは、かかりつけの医師にご相談されることをお勧めいたします。

 

エネルギー源としての糖分

動物や植物中に広く分布する「糖質」は、エネルギーの源(糖分)になるだけではなく、体組織をつくる物質として、また代謝を活性化する物質として重要な役割を果たしています。エネルギー源としての糖分は、人も含めた動物においては脂肪やタンパク質から生合成することもできますが、基本的には植物性食品から摂るしかありません。

「糖質は単独ではほとんど存在しない」

糖質は、自然界には単体(1分子)の状態ではほとんど存在しません。いくつかの糖質が結合した形(多糖類)、他の栄養素と結合した形(配糖体など)に分類されています。ここではエネルギー源となる糖質についてお話をすすめてゆきます。(糖類・配糖体については免疫疾患をご参照ください。)
・単糖類:加水分解によってそれ以上簡単な糖に分解できないもの(ブドウ糖など)
・多糖類:加水分解によって10分子以上の単糖類を生じるもの(デンプンなど)

1.摂取した糖分の移動

a)糖分が吸収されるまで

食餌中のエネルギーになる糖分は、糖質分解・消化酵素によって単糖(グルコース)にまで分解され、小腸で吸収されます。このとき、塩分(Na)が存在すると吸収が促進されます。
スポーツドリンクなどはこの作用を応用し、塩分と糖分を混合することで、汗や尿による体内水分の低下や、運動によるカロリー消費に伴うエネルギー消耗をを素早く改善(補給)することをできるようにしています。

b)吸収された糖分の行方

小腸から吸収された糖分は肝臓に入り、一部はカロリー摂取ができないときのためにグリコーゲンに合成して貯蔵し、他方は細胞のエネルギー源として血液中に放出されます。

c)細胞へ取り込まれる糖分

血中グルコースは、細胞膜にある「インスリン受容体」にインスリンが結合すると細胞内に取り込まれ、ミトコンドリア内で代謝を受けてエネルギーを産生したり、余分な糖分は脂肪へと合成されてゆきます。

d)体外へ排泄

代謝後にできた二酸化炭素(CO2)は呼気として、炭素化合物や水は尿や汗として排泄されてゆきます。

2.消化管内の糖質の変化

a)消化酵素による分解

食品中の糖質は多糖(糖がつながった状態)になっていて、口中や食道からアミラーゼという酵素が分泌されて、ある程度の消化(結合の切断)が行われます。これがさらに十二指腸(膵臓から分泌されるアミラーゼ)や小腸粘膜から分泌される糖質消化酵素(α-グルコシダーゼなど)によって、グルコース(ブドウ糖)まで分解されたのち、小腸上部から吸収されます。
・デンプン(ご飯やイモ類など)はα-アミラーゼによってオリゴ糖へ、さらにα-グルコシダーゼによってグルコース(ブドウ糖:カロリー源)へ分解されます。
・砂糖(スクロース)はα-グルコシダーゼの作用のみで、グルコースとフルクトース(果糖)になります。
・グルコースと構造が似ているガラクトースが食品中に存在すると、グルコースの吸収を阻害します。

b)粉ミルクや牛乳を飲むと下痢をする理由

粉ミルクや牛乳には、乳糖という糖質が含まれています。乳児期には、この乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」を分泌できるので特に問題は発生しませんが、小児期を過ぎるとラクターゼ分泌が減少し乳糖が分解されずに腸管内に残留します。消化されない乳糖は水分を腸管内にとどめ、さらに細菌によって有機酸に分解されて醗酵して消化管の運動を活発にさせます。これにより、下痢や腹痛が起こりやすくなるのです。
このような症状でお悩みの方は、乳酸菌ビフィズス菌、またそれらの生育を助ける乳酸菌酵母生産物質などを常時摂るようにしましょう。

3.血糖値の調節について

a)血中の糖分を細胞内に取り込ませるインスリンとインスリン受容体の活性化

血糖値がある一定量を超えると、グルコース感受受容体がそれを感知して、膵臓から血中にインスリンを分泌させます。血中に放出されたインスリンが細胞膜にあるインスリン受容体に結合すると、グルコースが細胞膜を通過しやすくなり血糖値が減少します。
ところが何らかの原因でインスリン受容体が活性化されないと、インスリンは分泌されていてもグルコースを細胞は取り込めない状態となり細胞活動は低下してゆきます。このインスリン受容体を活性化させる物質として、GTF(ブドウ糖耐性因子)が注目されています。このGTFの成分になるのがミネラルのクロム(Cr)です。ところが、クロムは腸管から吸収がほとんどされません。ラクトフェリンとの結合物にすると、安定して吸収され細胞にクロムの供給を行なうことができます。

b)血糖値を維持するために作用するグルカゴン

インスリンとは逆に、血糖が不足してくると分泌されるのがグルカゴンです。血糖値を上げるために体脂肪などの代謝を促進して、糖質の供給に働きます。

 

糖尿病

1.糖尿病とは

糖尿病とは、インスリン分泌量の不足(1型)、又はインスリンの反応が不足する(2型)などによって起こる慢性の高血糖状態(血液中のブドウ糖濃度が異状に高い状態)で、このために種々の代謝障害や細小血管障害を伴う疾患の総称です。発症には遺伝や環境(特に食環境)などが関与することが多くみられます。
長期にわたる代謝異常が続くと特有の合併症が現れやすく、動脈硬化症、肥満症、高血圧症などをも促進してしまう注意が必要な病気です。

2.分 類(※IDDM=insulin-dependent diabetes mellitus)

分 類 解    説
1型
インスリン依存型
(IDDM)
膵臓のランゲルハンス島β細胞(インスリン合成分泌細胞)の死滅又は損傷を受けた場合に起こり、絶対的なインスリンの不足になります。自己免疫性(免疫細胞による破壊など)や突発性に起こりやすく、活性酸素などによる損傷性も考えられています。
2型
インスリン非依存型
(NIDDM)
インスリンの分泌が低下するものと、インスリン抵抗性(インスリン反応の機能低下)を主体とするものがあります。細胞には血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む機能として「インスリン受容体」というものがありますが、その機能が衰えている場合に起こりやすくなります。
特定疾患によるもの
高グルカゴン血症 グルカゴンとは膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンで、肝細胞に作用して血液中にブドウ糖を放出しやすくし、血糖値を上げる働きがあります。
各種ホルモン異常 パセドウ病、クッシング症候群、褐色細胞腫、慢性・急性膵炎など
薬剤のよるもの ステロイドホルモンなど
グルコース中毒 グルコースがタンパク質(酵素など)と結合してその働きを低下させ、高浸透圧を引き起こします。(糖尿病性浮腫の原因)
妊娠糖尿病 妊娠中に発症するもの。

3.症状と診断方法

a)症 状

初期では自覚症状は感じられませんが、重症になるにつれ4大症状(多飲・多尿・口渇・体重減少)、陰部掻痒症、脱力感、インポテンツ、足の痺れ、下肢浮腫、白内障など。

項 目 1型(インスリン依存型) 2型(インスリン非依存型)
肥満 発病前、発病時の肥満はみられない 発病前、発病時の肥満がみられる
発病年齢 一般に10〜14歳または中年以降 一般に成年以降(46〜60歳)または若年者
度合い 急激に発病 発病は緩やか
遺伝性 あり 著しい
インスリン分泌 極端に低い わずかに低下
治療法 インスリン注射など 食事療法、運動療法が中心

※自覚症状は浸透圧が原因

皆さんは学校で、砂糖水が膜を通過する実験をやったことがありますでしょうか。実は生体においても原理は同じなのです。仕切り膜を挟んで一方には糖分濃度の高い水を、他方にはただの水(糖分濃度の低い状態)を入れておくと、糖分濃度の高いほうから糖分が浸透していって同じ濃度になろうとします。これを浸透圧と呼びます。
消化管粘膜から糖分は水分とともに血中へ、血中糖分は細胞内へと浸透してゆき、粘膜表面が乾燥したり、腎臓での血中水分のろ過量が増えて多尿になる、体内水分量が異常に減少し皮膚乾燥や痒みがでる、水分と一緒に電解質が排泄されるため疲労感が増す、水晶体に純粋な水分が供給できないことによる糖尿病性白内障など様々な症状がでてきます。また食塩(ナトリウムイオン)の存在で、この浸透圧が高まります。(NaはNa-Kポンプという物質輸送のシステムに関与し、これにより水分や糖質の膜の透過をさらに促進します。)

b)診断方法

検査方法 判  定  基  準
尿糖の検査 一般に、血糖値が160mg/dl以上になると尿に糖が出るようになります。この血糖値の高さによって尿に糖が出ることを「腎臓の糖排泄閾値」といいます。
腎性糖尿病
の場合
血糖値は正常でも尿に糖が出る病気です。
糖尿病型 空腹時 ≧126mg/dl
75g糖負荷試験(OGTT)2時間値 ≧200mg/dl
随時血糖値 ≧200mg/dl
上記いずれかを満たすもの。
正常型 空腹時 <110mg/dl
75g糖負荷試験(OGTT)2時間値 <140mg/dl
上記両者を満たすもの。
境界型 糖尿病型でも正常型でもないもの。
妊娠糖尿病 75g糖負荷試験(OGTT)2時間値(省略)

c)合併症

合併症 解    説
糖尿病性神経障害 知覚・運動・自律神経などすべての神経が障害を受けます。下肢末梢の症状から始まり、進行すると知覚障害、動脈硬化を伴う末梢の血管循環障害を合併します。
糖尿病性網膜症
白内障
主な病変は眼底出血で、治療しないで放置すると出血がひどくなり、失明に至る可能性もあります。また水晶体の白濁が起こる白内障は、活性酸素や過剰糖分などが原因とされています。抗活性酸素成分などを豊富に補うことも重要です。
糖尿病性腎症 本症になると、最初に微量のアルブミンが検出され、ついで尿タンパクが検出されます。その後次第に腎機能が低下して「尿毒症」を併発します。

 

予防と養生法

1.注意したい栄養成分・食品

栄養成分・食品 解    説
糖 質 血糖値を直接高め、インスリン不足をさらに助長します。砂糖や菓子類、果物類のほかに、米、パン、麺類、かぼちゃ、イモなどの糖質(炭水化物)の多い食品の過剰な摂取を控えてください。糖質由来の食品(酒や焼酎などのアルコール)、飴などは厳禁です。
脂 質 脂質はインスリンの働きには直接関与しませんが、糖尿病の合併症である動脈硬化症、高脂血症、高血圧症など(コレステロールや飽和脂肪酸が関与)の症状を悪化させます。鶏肉や魚類の卵、レバー、バターやチーズなどの乳製品にも注意が必要です。
アミノ酸 ホルモンの原料ともなるので摂取は心がけたいものですが、必要以上に摂ると糖分合成に利用されるため、適量を心がけましょう。(抗肥満アミノ酸は、体脂肪や過剰な糖分をエネルギーに変換するはたらきがあります。これらは積極的に摂りたいものです。)
食用油 月見草油シソ油などには、γ-リノレン酸が含まれています。γ-リノレン酸は生体内でプロスタグランジン1(PG1)を合成し、血糖値を低下させる働きがあります。生野菜のドレッシングなどにして、食してください。ただし、過剰になるとアラキドン酸に代謝されPG2を合成して、血圧上昇などの原因となります。魚油や鮫油などに含まれるEPADHAも良いでしょう。
食物繊維 食品は甘味を増すために、糖質に多量の塩分を加えます。塩分は単糖の吸収を促進します。食物繊維を食事中に加えると、余分な糖質や塩分などを吸着して、吸収を阻害するほか、食事前の摂取では満腹感を感じますので、摂取カロリーの減量に役立ちます。
背青魚を多めに 背青魚には糖質を代謝して、呼吸により得た酸素と反応させてたくさんのエネルギーを生み出す、ユビキノン(ビタミンQ:CoQ10)と呼ばれる成分が豊富に含まれています。また、脂質の代謝を促進して肥満解消にも役立ちます。

2.養生法

養生法 解    説
摂取カロリー 一般的に、男性は1,400〜1,800kcal/日、女性は1,200〜1,600kcal/日の摂取が目安となります。
食事 食事の間隔が空くと、食後の血糖値を急激に上げ(食後過血糖)を引き起こします。
夜食と早食い 生体では、昼間は交感神経の興奮が高まりエネルギー消費が高まりますが、夜間は副交感神経が活性化され栄養素を体内に蓄積しようとします。したがって夜食を摂ると、体脂肪が蓄えられやすくなります。満腹感とは、大脳にある満腹中枢が血中の血糖値などを感知して、血糖上昇が認められたことを認識した時点で感じるのですが、感知するまでに通常20分以上かかるため、早食いをすると、実際には満腹なのに必要以上に食してしまう結果となります。
必要栄養素 摂取された糖分をエネルギーなどに変換する代謝は、さまざまな栄養素(特にビタミンやミネラル)の存在で行われます。必要な栄養素が不足すると、いつまでも血糖値を下げることができず、体脂肪の蓄積の原因ともなります。
運動 肥満対策のために「運動すればよい」は大変な勘違いです。本人に適した運動量を設定しないと、逆に体力低下や必要以上のエネルギー摂取のきっかけとなります。目安として、運動をして少し疲労感を覚えた位が適量です。また運動の後は、必要栄養素の消耗も激しいので、必ず補っておきましょう。ただし、スポーツドリンクなどは塩分と糖分を急激に吸収させることを目的としていますので厳禁です。
ストレス ストレスは食欲中枢を刺激して食欲を増すほか、代謝に必要なタンパク質の消耗も激しくなります。

3.治療法

a)食事療法

摂取カロリーは標準体重を基準として、軽労作(デスクワークなど)では25〜30kcal/kg、普通労作(立仕事など)では30〜35kcal/kgが適切です。

b)運動療法

やや速歩(80m/分)の30分以上の歩行、1万歩/日が目標です。ただし、眼底出血のある網膜症、進行性腎症、重症心疾患は禁忌。

c)薬物治療

詳しくは、かかりつけ医師又は薬剤師へご相談ください。